当会は有機栽培茶づくりの勉強会の会としてはじまりました。茶農家同士お違いに切磋琢磨し合い有機栽培で最高の茶づくりを追求しています。






その昔、茶産地では最高の茶づくりに励む茶師のことを天狗と呼んでおりました。彼等は固有の技術と流儀を持っており、その自信と誇りが人々に天狗と呼ばせていたのです。「駿河天狗」の名は、天狗の自信と誇りが由来です。



当会は真面目に頑張る小さな個人茶園の勉強会の会です。「同じ静岡県下で有機栽培という同じテーマに取り組む者同士、一度顔を合わせてみようじゃないか。」と声を掛け合い集まりました。膝突き合わせて話しをする中「また合おう」と約束を取り決め、それ以来定期的に集まり情報交換や勉強会を行って参りました。これが静岡有機茶農家の会のはじまりです。いつまでも自然の恵みを作り続けたい。皆様とともに茶の在り方、農業の在り方を考えて参りたいと思います。
「有機栽培で最高の茶づくりを追求する。」という会の志しとともに、「茶畑からの文化伝承」をテーマに時代に流されない伝統本来の茶づくりを守り伝えて参ります。
静岡有機茶農家の会生産者一同



塚本忠紹(つかもとただつぐ)
やいなばの有機茶園
岩崎光雄(いわさきみつお)
りょうごうちの有機茶園
斉藤勝弥(さいとうかつみ)
ほんやまの有機茶園
静岡県藤枝市谷稲葉。大学性の頃に読んだレイチェルカーソンの「沈黙の春」に影響を受け、有機栽培に取り組む。また父の毒ガス戦争体験から「人体に有害なものは使ってはならない」という教えを受ける。有機栽培歴40年余りという歴史にその強い意志が伺える。茶の生態への深い知識と経験から甘味のある力強い生葉を育てあげる。剣道七段の剣士でもある潔い茶人。

静岡県静岡市清水区河内。興津川上流域の山の中。自然の川霧が直射日光を遮り爽やかな香気を生み出します。まるで桃源郷のような自然あふれる山の茶畑。水車小屋があった頃の祖父が作る茶の香りに魅せられ、時代の流れに反した自園自家製造の茶づくりを復活させ有機栽培を守り続ける。日本の有機農業の走りの世代。無くしてはならない日本の心、茶の心を尊ぶ山の茶人。

静岡県静岡市西又。本家本元、ほんやま茶産地。うまい茶を追求し続け、有機栽培でなければ本当の茶の旨みは引き出せない、と確信を持ち有機農業に没頭する。長年の蓄積によるデータ分析と微生物の研究による他に類のない栽培技術で有機茶づくりに取り組み伝統本来を追求する。茶づくりのプロとして常に消費者に「本物を伝える」姿勢を崩さない。銘茶産地の17代目。




岩崎忍(いわさきしのぶ)
りょうごうちの有機茶園
飯塚武司(いいづかたけし)
すけむねの有機茶園
飯塚稔(いいづかみのる)
すけむねの有機茶園

岩崎光雄の長男。20歳の頃から製茶を学びその技術とセンスの良さは仲間内でも評判が良い。現在は父の茶を越すための栽培技術の勉強に励み、父とともに地域最高の味わいと香りを育てている。2009年イタリアの有機農業村、ヴァレー・リーグレにて有機農業をテーマにした国際交流会で茶入れの技を披露。

30年前から紅茶づくりに取り組む。国内最長の有機紅茶歴を持つ。「緑茶と同じ木の葉から紅茶ができるのなら」と、摘んだ生葉をポケットに入れ発酵させながら揉んでみたのがきっかけ。発酵茶への興味が増し若かりし頃より紅茶づくりにのめりこむ。緑茶で培われた製茶技術から、紅茶製造まで、茶の製造技術には定評のある茶職人。

飯塚武司の長男。有機にこだわる父の意志を継ぎ有機農業に取り組む。現在は国産有機紅茶の研究にも力を注いでいる。すべての茶は栽培による生葉の品質に作用されるため、紅茶には紅茶用の栽培の研究をし、おいしい紅茶づくりを目指す。「栽培からの茶農家ならではの紅茶づくりで国産紅茶の可能性を広げたい」という若き茶職人。



日本の有機自園茶を広めよう!
一園逸茶運動

当会が中心となり呼びかけた全国初の茶農家ネットワーキング。全国から有機系茶農家が集まり定期的に勉強会を行っています。日本の有機茶をもっともっとおいしくしよう!お互いに切磋琢磨、情報交換をしながら技術を磨き、皆一生懸命に技術向上に励んでいます。もはや日本の農業は大規模化でしか生き残れないと言われる中、小生産者の個性あふれるお茶を守り伝えるために、茶畑から何を発信すべきなのか、集うごとに意見交換も深まります。








静岡有機茶農家の会の歴史とその背景
1970〜5年頃
有機栽培による茶づくりに誰も見向きもしてくれなかった時代。当時の農業指導に刃向かう農薬や化学肥料を使わない茶づくりに敵視さえあった時代です。1袋のお茶を売るのに、2時間も3時間も有機栽培の説明が必要でした。生産茶農家は、お茶を車に積んで東京の公園で開催される市に売りに行ったり、安全な食を求める消費者団体を見つけて扱ってもらったり、お客様との顔の見える関係をコツコツ築いてきました。当会の生産茶農家が若かった頃は「公害問題や環境問題に取り組む意識の高い東京のおばちゃんたちに“農薬を使わないお茶だったら私たちが買うから頑張りなさいよ”と随分支えてもらったと言います。生き方として、信念を貫く仕事として「自分の畑には自然界や人体に有害なものは一切使用しない」と心に決めて取り組んだ有機茶づくりでした。お客様との顔の見える関係での茶づくりは、直接声が聞けますから、美味しい、美味しくない、とはっきりした声も聞こえてきます。なんとか美味しい!と言わせたい。悔しさはやる気となって試行錯誤をくり返し、たくさん失敗もしながら有機によるおいしい茶づくりを目指しました。とはいえ、まだまだ有機茶は世間に認知されていない存在。どうしたらもっとおいしいお茶が作れるのか、有機茶づくりを続けていくためにはどうするべきか、皆、模索しながらがむしゃらに頑張ってきました。


1990年頃
そんな時、同じ静岡県かで有機茶づくりに取り組む者同士、顔を合わせていろんな話しをしてみようじゃないか、と声を掛け合い集まる機会がありました。集まった茶農家は、皆、自分の茶畑と茶工場を持つ有機専門の自園茶農家です。栽培から茶づくり、袋詰めまでを一貫して行う自園茶ですので、有機茶づくりに必要なのは強固な個人の意志ひとつ。同じ気持ちで同じように茶づくりと販売に苦労してきた者同士の集まり。これが「静岡有機茶農家の会」のはじまりです。それ以来、毎月定期的に集まり、様々な角度から勉強会や情報交換、討論会を行い、共に有機茶づくりを向上させて参りました。有機茶づくりに取り組む茶農家は少ないため、その情報やノウハウもありません。皆での勉強会や情報交換は大変役に立ち、有機茶づくりの目覚ましい技術向上に繋がっていきます。ここに当会のお茶のおいしさの源があります。励ましあい助け合いながら、皆、自分の茶園独自の栽培方法の確立を目指しました。そんな中、会の在り方を評価し当会の生産茶農家のお茶全てを扱っていただける販売店様も現れ、会の内容はこれまでの勉強会に加え、皆で企画に知恵を絞る会議も含まれるようになってきました。


1995年頃
有機栽培という言葉が世間で認知されてきた時代。消費者の食の安全への意識も高まり、安心・安全を唱える商品も目立ちはじめました。お茶に限らず有機で食を作る熱心な生産者は、安心・安全だけではダメ、おいしくなければ、と有機でなければできないおいしさを追求し、高品質な有機商品も増えてきました。ひと昔前の「有機だから形も悪い、味もイマイチ」というレベルから「有機だから美味しい!」と言わせる商品づくりが作り手の頑張り甲斐。当会の目標もこれまでのキャリアに基づく自信から「有機で最高のお茶を作る」という終わりなき高い目標を掲げ、増々勉強会に熱が入ります。


2001年
2001年、有機JAS法が施行されました。有機JAS法については意見も様々ですが、有機が法律になるほど世間に認知されてきた、ということでもあります。当会の生産茶農家は皆、認証を取得しました。ますます高まる食の安全性から、販売店様にお茶を出荷するにあたっても既に多くの書類や仕様書が必要となっている事に加え、有機認証の書類や更新のための検査など、茶農家も書類作業が一段と増えてきました。またこれまで安心・安全な食を求めるクローズドマーケットや自然食品店でしか扱われていなかった有機茶ですが、一般の販売店様からも扱いたい、と声をかけられるようになってきました。当会の勉強会も、テーマのひとつに「有機茶の普及」を掲げ、これからの方向性を議論することも多くなってきました。


2004年
有機茶づくりに賭けた年月分の自信と誇りを兼ね備えた今。「有機茶の普及」を本格的に活動していくために、当会のお茶の販売窓口を統一し事務局を法人化。負担になってきていた茶づくり以外の作業を軽減させ、茶づくりに専念できる環境を整備。また、従来の商品アイテムに加え、当会の生産茶農家メンバーの有機茶葉のみで作ったオリジナルブレンド茶も商品化。皆の茶葉を使用することで、供給量のまかなえる商品づくりに取組みました。茶畑特定、収穫量にも限りのある有機自園茶は、当然その供給量にも限りがあり、これまで大きな販売店様への供給が不可能だったのです。これぞ皆の心をひとつに合わせて作った静岡産有機茶の傑作です!このような有機茶の普及を目指した商品づくりをはじめ、新商品の開発、パッケージの一新、新しい販路の開拓、情報発信、イタリアスローフード協会をはじめとした様々な交流、等、次なる飛躍へ向けて一丸となって一生懸命取組んでいます。ようやく40年間の内なる努力と積み重ねが世間に認めてもらえる時が来たのかもしれません。今まで当会のお茶をご愛飲し続け有機茶づくりを支えてくださった多くのお客様、良き方向へと導いてくださった多くの方々のお力添えに感謝し、有機茶づくりを通し、自然を愛する日本の心とその喜びを伝え続けたいと願います。有機茶は世界に誇れる日本の文化!目標は大きな夢と共にあります。


2005年
会の団結力も一層の高まりを見せる中、ワインの権威でもあり、大の日本茶好き、というイタリアスローフード協会の国際理事が視察に来られました。そしてこのように述べられました。「現在日本のお茶は、栽培する農家と製茶するメーカーに分業化されている。これはワインが抱える問題と同じ。このような製造工程が、農薬や化学肥料の使用を増大させ、環境を汚染し、本来安全であるべき食を危険にさらしている。同時に地域の味覚を消滅させつつある。」そして「このような問題を解決するひとつの手法として、日本の有機自園茶を国内外に広くPRする行動を起こすことが必要」と提言されました。このことを受けて、日本の有機自園茶を広めよう!「一園逸茶」運動が企画され、静岡有機茶農家の会がその中心的な役割りを担うことになりました。


2006年
イタリア・トリノで開催されたスローフード国際イベントに招聘され、日本茶のワークショップとお茶会を行って参りました。日本茶のイベントは大好評で、その質と内容に高い評価をいただきました。今でも2006年のお茶会は、全ての催しの中で一番良かった、と語り継がれているそうです。


2008年
一園逸茶の全国の有機茶仲間たちと、本格的に全国版の勉強会をスタートさせました。日本の有機茶農家は全国に少数が点在していますので、全国版のお茶の勉強会の開催自体が難しい現状にあります。産地の壁を乗り越えて国内初の勉強会の実現です。


2009年
イタリアの有機農業村、ヴァレーゼリーグレにて有機農業をテーマとした国際交流イベントに招待されました。当会の取り組みは、日本よりも有機農業に意識の高い海外で評価されることが多くなってきました。これからは世界の日本茶として海外への普及という新たなテーマにも前向きに取り組んでいきたいと考えます。しかしながら、日本人のお茶は離れが進む現在、日本文化を守り、茶づくりを未来へ繋ぐために、日本人へ日本の再発見をしていただくことが大事なテーマとして沸き起こっております。昔の人はお茶に特別な思いを寄せて生活に取り入れてきました。今こそ、日本の良いところを見つめ直していきたいと思います。